この記事では、YouTuber(ユーチューバー)でもマイクロ法人で節税すべきかどうかについて解説していきます。
結論から言うと、損したくなければYouTuberもマイクロ法人で節税対策をすべきです。
逆に何も対策しないまま3年、5年、10年と事業を続けていくと数百万円、場合によって1千万円以上もの税金を払いすぎる可能性だって出てくるでしょう。
具体的な運用方法やメリットデメリットまで解説するので、YouTube収益の節税で損したくない人は最後まで読んで行ってくださいね!
YouTuber(ユーチューバー)がマイクロ法人で節税できる仕組み
まず初めに、マイクロ法人でユーチューバーが節税できる方法・仕組みについて説明します。
- マイクロ法人を設立する
- 売上の1部をマイクロ法人に移す
- マイクロ法人から受け取る給料を低く設定する
- マイクロ法人側で健康保険・厚生年金に加入する
ポイントは以上の4つです。
マイクロ法人を設立すると個人事業とマイクロ法人の二刀流になるので、保険と年金、税金は以下のようになります。
区分 | 個人事業 | マイクロ法人 | 効果 |
公的保険 | 健康保険 | 国民健康保険の納付はストップ | |
公的年金 | 厚生年金 | 国民年金の納付はストップ | |
税金 | 所得税 | 法人税 | 所得分散による節税 |
公的保険、公的年金はどちらか1つ主となる方にに加入すれば良いので、マイクロ法人側で入れば加入義務はクリアできます。
そしてマイクロ法人から受け取る給料を低く設定すれば、保険料を低く抑えられるという仕組みです。
税金は2つ支払う必要が出てきますが、一定の所得を超えると法人税率の方が低くなるので、所得を分散することで節税効果が狙えます。
ただし、マイクロ法人の設立にあたって以下に注意が必要です。
- 個人事業とマイクロ法人とで売上の内容を明確に区分する。
- 取引実態が無いもの、もしくは、実働の意思がないものはNG
これらを満たさないと税務署から意図的な租税回避とみなされるリスクがあるので覚えておいてください。
次の章では、具体的にマイクロ法人で節税する方法や、移行する売上例を見ていきましょう。
YouTuber(ユーチューバー)がマイクロ法人で節税する2つの方法
YouTuberがマイクロ法人を利用して節税する場合には、売上を部分的にマイクロ法人に移行する必要があります。
個人事業主で計上している売上をどのようにマイクロ法人に移行するかという話ですが、大きく二つの方法が考えられます。
それぞれ具体的にみていきましょう。
マイクロ法人で節税する方法①:売上の一部を法人に移行する
既存ビジネスの売上の一部をマイクロ法人に移行する方法です。
この場合、個人事業と法人とで線引きが難しく、好き勝手に計上していると租税回避行為とみなされるリスクがあります。
事業の売上の一部を移行するよりも、事業部単位や、業態ごとの単位で移行する方が望ましいと言えます。
事業ごと移行する具体的な方法は、次で詳しく解説します。
マイクロ法人で節税する方法②:事業ごとマイクロ法人に移行する
売上が複数事業に及ぶ場合には、マイクロ法人に事業ごと移行してしまうのが最もスマートと言えます。
具体的な売上例としては次のようなものが挙げられるでしょう。
法人で計上する売上例①:YouTube広告の収入のみをマイクロ法人で計上
まず最初に紹介する例は、YouTubeの広告収入をマイクロ法人で計上するという方法です。
YouTube以外にも収入源がある場合は、YouTubeの広告収入のみをマイクロ法人で計上し、それ以外を個人事業に残します。
そうすることで、ユーチューバーとしてマイクロ法人で節税しつつ、個人事業の所得分散効果も狙えます。
You tubeは収益化ができると、継続的に収益が見込めるので、「実働の意思がない」とみなされるリスクも下がるので安心ですね。
「ユーチューバーとしてある程度成功したけど、他の事業も始めてみようかな。」と考えている人にもおすすめできる方法です。
法人で計上する売上例②:コンサルによる収入をマイクロ法人で計上
続いては、コンサルによる収入があるケースです。
個人事業主としてユーチューバー、マイクロ法人でコンサルというように分けてみましょう。
これら2つは、明確に区分しやすいため税務署からの指摘を受けるリスクも下がります。
ただし、先に述べたように「実働の意思がないものはNG」なので、コンサルを続けることを前提としてください。
法人で計上する売上例③:ブログなどその他媒体の収益をマイクロ法人で計上
3つめは、ブログやアフィリエイトなどの売上をマイクロ法人で計上する方法です。
この場合は個人事業主としてYoutuber、マイクロ法人でブログ、アフィリエイトの収益を計上します。
これら2つを個人事業のままにしておくと、収入が伸びるにつれ税金も上がってしまうので、マイクロ法人を使って分散しましょう。
またブログやアフィリエイトは低リスクなので、節税のためにマイクロ法人で何か新しく始めようと考える人にもオススメの方法になります。
法人で計上する売上例④:不動産の収益をマイクロ法人で計上
最後に不動産の収益もあるケースを見ていきます。
この場合はユーチューバーは個人事業、「不動産の管理会社」としてマイクロ法人がおすすめです。
なぜなら不動産売却にかかる譲渡所得税率で、個人より法人の方が優遇されているからです。
つまりマイクロ法人によって、社会保険料、所得税、譲渡所得税の削減ができるので他と比べて、効果が一段と大きくなります。
不動産収入もある方はぜひ、検討してみてください。
YouTuber(ユーチューバー)がマイクロ法人を利用して節税するメリット・デメリット
メリット | デメリット |
---|---|
①社会保険料の削減 ②給与所得控除による節税 ③社会的信用の向上 ④計上できる経費の幅が広がる | ②税理士費用がかかる ③申告が2つ必要 | ①地方税の均等割り約7万円がかかる
マイクロ法人を利用するメリット・デメリットをまとめると以上のようになります。
マイクロ法人の設立を検討する際に、しっかり抑えておきましょう。
それでは、それぞれ詳しく解説していきます。
YouTuberがマイクロ法人を利用して節税するデメリット
ここまでメリットと具体的な方法を中心にみてきたので、先にデメリットから触れておきます。
デメリット①地方税の均等割り約7万円がかかる。
法人では利益に関わらず、地方税の均等割りという税金がかかってきます。
マイクロ法人の利益が赤字だったとしても約7万円の税金が発生してしまいますので、覚えておいてください。
デメリット②税理士費用がかかる。
マイクロ法人は税理士費用が必要になります。
なぜなら法人税の申告業務は、決算書やその他の提出書類も多く経理経験が無い方には難しいからです。
むしろ無理して時間と労力をかけて自分でやるよりは、税理士に任せてしまった方が費用対効果は上がります。
そのため、税理士費用は必要経費と割り切るようにしましょう。
デメリット③申告が2つ必要
マイクロ法人を設立すると、個人と法人で2つ申告が必要になります。
また個人より法人の確定申告の方が、作成する書類が多いというのも難点です。
そのため、先に述べたように申告業務は税理士に任せてしまいましょう。
YouTuberがマイクロ法人を利用して節税するメリット
続いてメリットの方も解説していきます。
メリット①社会保険料の削減
マイクロ法人の節税で最も効果が大きいのが社会保険料の削減です。
冒頭でも少し説明しましたが、マイクロ法人側で健康保険に加入して給与を低く設定するという方法です。
個人事業主とマイクロ法人の社員では、加入する保険の種類が異なるため、納付額の計算方法自体に違いがあります。
区分 | 保険の納付額 | 年金の納付額 |
個人事業主 | 所得の約10% | 一律約16,590円/月(令和4年) |
マイクロ法人 | 報酬月額により変動 | 報酬月額により変動 |
仮に年収800万円の個人事業主の場合、保険が約80万円、年金が約20万円で合計約100万円です。
一方マイクロ法人側で社会保険に加入し、給与を報酬月が1番低いところになるよう設定すれば、健康保険約3.5万円、厚生年金約10万で合計約13.5万円まで抑えられます。
マイクロ法人の場合、会社でも同額を負担する必要がありますが、合計しても約27万円です。
よって年収が約800円の場合、結果的に70万円以上の社会保険料の削減が可能になります。
メリット②給与所得控除による節税
マイクロ法人から給与をもらうと「給与所得控除」が使えます。
給与所得控除とはマイクロ法人から受け取った給与所得を少なくできる制度で、最低額は55万円です。
よって個人事業と比べて、最低でも55万円×税率分の節税効果があります。
地方自治体によって税率は少し変わりますが、55万円×15%(所得税5%、住民税10%)で、少なくとも8万円以上の節税効果は見込めるでしょう。
メリット③計上できる経費の幅が広がる
個人より法人の方が経費で計上できる範囲が広いので、より税金を圧縮できます。
代表的なのが、生命保険料や社宅家賃です。
一般的には、手取り収入から家賃や生命保険料を支払うことになると思いますが、法人の場合それらを経費で落とせるので、その分節税対策になります。
メリット④社会的信用の向上
マイクロ法人は会社なので何らかの社会的責任を負いますが、その反面、個人より社会的信用を得やすくなります。
例えば、金融機関で融資を受けたり、人材を確保したりといったことが有利に進むことでしょう。
今後の事業展開を考えるうえで、ぜひとも頭に置いておきたいところです。
YouTuber(ユーチューバー)がマイクロ法人を利用して節税する場合の注意点
- 個人と法人で収入の線引きを明確にしておきたい
- 同じような収入源を法人と個人で分けないようにしたい(例えばtiktokとYouTubeなど)
- マイクロ法人は継続しやすい事業を選ぶ
- 収入が大きくなり、個人側に利益を残し過ぎると節税効果が薄れる
税務署からの「意図的な所得分散」とみなされるリスクを避けるため、個人と法人では事業を明確に区分してください。
また個人事業はYoutuber、マイクロ法人ではtiktokなど、似たような収入源も危険です。
マイクロ法人の事業は、先に挙げた売上例のように明確に区分できるものを選びましょう。
そして、マイクロ法人の設立後は個人側に利益を残し過ぎないことも大切です。
特に個人事業の所得が900万円を超えると、所得税率が法人税率を追い抜いてしまうので、確実に税金の払い過ぎが起きてしまいます。
安全かつお得に節税するために、以上のことに注意してください。
YouTube(ユーチューバー)がマイクロ法人を利用して節税する場合についてまとめ
ここまでお話してきたように、ユーチューバーが節税するのにマイクロ法人は非常に有効な手段になります。
申告が2回になったり、税理士費用や地方税といったデメリットもありますが、それを上回るメリットがあるからです。
特に社会保険料や税金の削減効果が大きく、さらに社会的な信用も得られます。
社会保険料は年間で数十万円、収入によっては70~80万円円ほど削減できることもあるでしょう。
具体的な方法は以下の4点です。
- マイクロ法人を設立する。
- 売上の1部をマイクロ法人にうつす。
- マイクロ法人から受け取る給料を低く設定する。
- マイクロ法人側で健康保険・厚生年金に加入する。
注意点は個人事業とマイクロ法人で売上を明確に区分することです。
以上、YouTuber(ユーチューバー)のマイクロ法人による節税対策でした。
ぜひ参考にしてください!